大原社会問題研究所100年に向けた歩み

  • 2018年10月10日 掲載
  • コラム・エッセイ

多摩キャンパス移転直後の大原社研の地下3階書庫


社会科学分野の民間研究機関としては日本で最も古い歴史を持つ大原社会問題研究所(大原社研)は、倉敷紡績株式会社の社長を務めていた大原孫三郎氏によって1919(大正8)年2月9日に大阪に創設されました。大原氏は、事業の傍ら、倉紡中央病院や大原美術館を設立するなど、社会・文化事業にも熱心に取り組みました。また、社会問題の解決には根本的な調査・研究が必要だと考えるようになり、私財を投じて同研究所を設立したといわれます。

初代所長に就任した東京帝国大学(現・東京大学)経済学部教授・高野岩三郎の下には、後に本学の第8代総長となる大内兵衞をはじめ、優れた研究者が集まりました。研究の成果や収集した大量の図書・資料は、『日本労働年鑑』や『大原社会問題研究所雑誌』などで発表されました。

大原社研は1937(昭和12)年に東京へ移転しますが、戦時下の厳しい状況にあって『日本労働年鑑』の刊行が途絶え、戦災で建物や蔵書の多くを失います。

戦後、神田駿河台のビルの一室で活動を再開したものの、激しいインフレによって財政状態が急速に悪化しました。存続の危機にさらされた大原社研は、1949年に本学と合併し、本学の付置研究所として新たなスタートを切ります。久留間鮫造所長の下、『日本労働年鑑』が復刊されました。その後、土蔵に収容されていたため焼失を免れた貴重書や戦前の資料の整理も開始されました。

1986年に移転した多摩キャンパスでは、研究室や閲覧室、貴重書書庫の他、地下3階に大書庫が設けられ、専門図書館・資料館としての機能が充実します。

現在は、研究活動、資料の整理・保存、『日本労働年鑑』や社会労働関係の数少ない専門学術誌『大原社会問題研究所雑誌』などの定期刊行物の刊行、シンポジウムやシネマ・フォーラム、国際ワークショップなどを通じて国内外に情報を発信しています。

大原社研は、100周年を迎える2019年以降も、時代の変化に応じた新たな課題に取り組み、日本の社会労働問題研究の拠点としてますます重要な役割を果たしていくでしょう。

取材協力:大原社会問題研究所所長 鈴木 玲教授

(初出:広報誌『法政』2018年6・7月号)

貴重資料の展示(2020年3月まで)や記念シンポジウム(2019年3月20日)など、大原社研の100周年記念事業の詳細はウェブサイトに掲載します。

左:1920年に刊行された『日本労働年鑑』第1集。2018年版が88巻目/右:戦前期約3000点、戦後期約2100点のポスターコレクションの一部

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