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【2020年度自由を生き抜く実践知大賞】学びの課題解決賞「オンラインの利点を活かした「リアルタイム双方向コミュニケーション」を重視した各種取り組み」紹介

  • 2021年2月12日 掲載
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■受賞名

学びの課題解決賞

■受賞取組

オンラインの利点を活かした「リアルタイム双方向コミュニケーション」を重視した各種取り組み

■実践主体

情報科学部

■概要・成果

情報科学部では、この未曽有の難局に、教職員および学生が団結して立ち向かいました。特に、学部の方針として「リアルタイムでの双方向コミュニケーション」に一貫して強いこだわりを持ち、「オンラインだからこそできる」数々の取り組みを実施してきました。

(1)正課授業・試験
春学期・秋学期ともに学部開講科目の8割以上をリアルタイムで実施し、春学期末には「リアルタイム期末試験」も多数行いました。ZoomやCisco Webexのチャット機能や投票機能を駆使し、教員は受講者の反応や理解度を確認しながら、授業中に補足説明や質問対応を行うなどの工夫を施しています。システムの操作に慣れない兼任教員へも、学部執行部を中心としたサポートチームを立ち上げ、日夜支援を行ってきました。その甲斐もあり、春学期末に学部独自で行った「授業改善アンケート」において、オンライン授業への学生の評価は、従来と比較しても引けを取らない結果となりました。

(2)オンライン窓口
a.学部窓口

Zoomによる「オンライン学部窓口」を春学期・秋学期の授業開始~履修登録期間中に実施しました。質問内容自体は、電話やWebフォーム(メール)と特段の違いはなく、授業の受講方法や履修に関する質問が主でした。しかしながら、リアルタイムでのやりとりと画面共有機能などの活用により、従来の対応では実現できないきめ細かい案内が可能となりました。
b.学生サポート施設
GBC(ガラス箱オフィスアワーセンター: 学生アシスタント・教職員協同による学習・学生生活サポート施設)やCIS RAT(学生有志による情報環境支援チーム)についても、同様にZoomによる学生サポート業務を実施しています。GBCでは上級生による学習サポート・オフィスアワー・学生生活上の相談業務を、RATでは貸与PC等に関する質問対応をそれぞれ行っています。

(3)教員による学生全員との面談
普段と異なる環境下においては、気持ちが塞ぎ込んだり、不安が募ったりしている学生のケアが重要です。情報科学部では、4年生にはゼミでの会話を通し、1~3年生にはZoomによるオンライン個人面談を行い、学生の健康状態や困っていることなどをヒアリングし、学生全員の状況把握を図りました。

(4)各種リアルタイムイベントの実施
a.学位授与式 (2020/3/24)
卒業式が中止となった2019年度卒業生・修了生およびその保証人に対し、学部・研究科として安全に配慮しつつ祝いの場を設けたいと考え、ゼミ単位での学位授与式とZoomによる保証人向け動画配信を実施しました。卒業生・修了生、そして我が子が学位記を受け取る姿を画面越しに見守った保証人から喜びの声が多く聞かれました。
b.オンラインガイダンス(2020/4/6、4/16)・質問会 (2020/4/20)
オンライン会議システムの操作に慣れ、また学生の疑問や不安を解消するためにZoomによるガイダンスおよび質問会を実施しました。学生から寄せられる数多くの様々な質問に対し、学部執行部が根気強く全件に回答したことで、授業の開始を混乱なく迎えることができました。
c.保護者向け説明会 (第1回:2020/5/30、第2回:2020/9/19)
学部で取り組む各種の取り組みを保証人に紹介し、理解を求めるための「保護者向け説明会」をCisco Webex Eventsを利用して実施しました。当日は、保証人から寄せられる多数の質問にもQ&A機能を使ってその場で回答しました。事後アンケートからは「真摯に対応していることが分かって安心した」等の好意的なご意見を多数いただいた他、「授業形態の希望」や「通学を再開させるにあたり不安に思うこと」などの質問項目から保護者の要望が分かり、今後の学部運営方針を検討するうえで大いに役立ちました。
d.オープンキャンパス (2020/8/22)
バーチャルSNSサービス「Cluster」を使い、バーチャル会場の中で没入感が味わえる新感覚の学部説明会・研究室紹介を実施しました。参加者は説明会中に登壇者へ質問やリアクションを送り、コミュニケーションをとりながらイベントを展開しました。

従来の対面型授業やイベントでは、「質問・発言できる参加者」は限定的になりがちです。Zoom・Cisco Webexに代表されるWeb会議ツールには、チャット・投票・Q&Aのような参加者とのコミュニケーションを図るための機能が搭載されています。情報科学部では、これらのツールの利点にいち早く着目し、「リアルタイムによる双方向コミュニケーション」を様々な取り組みに取り入れてきました。これにより、従来対面で実施していた頃と変わらない、時には対面をしのぐ大きな効果や満足の声が得られたことを実感しています。
なお、これらの取り組みは、対面実施ができないことへの単なる「代替措置」ではありません。
この情勢が収束した後(いわゆるアフターコロナ)も、遠距離通学や心身の不調により「通学へ困難を感じる学生」への対応が一定程度必要になると思われます。情報科学部生や保証人を対象として実施したアンケートによると、大多数が、アフターコロナにおいてもオンラインと対面を効果的に組み合わせて各種サービスを受けることを希望していることが分かりました。要望を踏まえ、情報科学部では「通学できる/できないに関わらず、等しくサービスが受けられる」ことを新たなスタンダードとして再構築していくことも視野に入れながら、取り組みを更に改善していくつもりです。

■総長からの選定理由コメント

コロナ禍における授業実施で学生たちがもっとも困難を感じたのは、教員とコミュニケーションがとりにくいことだった。そこで、「リアルタイムでの双方向コミュニケーション」に学部が一体となって取り組んでくれたことは、今後の大学教育の質保証の上で、重要なモデルとなる。今後、全学の目標となるだろう。
とりわけ双方向コミュニケーションに職員の果たした役割は大きかった。学生全員との面談、保護者向けのガイダンス、WEBオープンキャンパスなど、なかなか取り組めなかった課題の丁寧な実施は、職員の尽力がなくてはとても実現できなかった。コロナ禍で、本学職員の能力と精神力の高さ、深さを痛感した。
情報科学部だけではない。今回はノミネートできなかった応募に、緊急時における職員たちの実力と活躍を示す取り組みが多くあった。学務部教育支援課と学部事務課の「もしもHoppiiがなかったら」、キャリアセンターの「コロナ禍でも歩みを止めないキャリアセンターの就職支援」、学務部学部事務課の「コロナ禍でも学生サービスを低下させない実践」、多くの部署の職員がかかわった「2020 父母懇談会代替企画」、学習ステーションの「大学に来られない今だからできるピアサポート活動」、教育支援課若手職員の「ピア・ラーニング・スペースのリニューアル」、人事部の「テレワーク下における新入職員配属前研修」、そして応募はなかったが実際に開始されたLINEを利用した窓口対応などだ。これら職員の努力と頑張りと発想の豊かさを知っていただくためにも、この取り組みに代表してもらって賞を授与したい。
情報科学部は2018年度に学生有志のCIS RATに賞を授与した。2019年度にはガラス箱オフィスアワーセンターに賞を授与した。今回は職員の尽力に賞を授与する。これは、すべての職員に賞を授与したい、という気持ちの表れだと思っていただきたい。

■受賞の感想

この度は栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。学部が一丸となって行ってきた数々の取り組みをこのように評価していただき、学部教職員およびRAT/GBCの学生スタッフ一同、非常に嬉しく感じております。今回私たちにいただいた表彰は、私たちの取り組みを支えた(他部局も含めた)職員の尽力に、特にスポットが当てられたものでした。実際この実践知大賞を通して、私たちだけでなく他団体も、コロナ禍で「実践知」を駆使した様々な活動を行っていることを知り、大きな刺激を受けました。同時に、そのような活動によって私たちの取り組みが支えられていることにも改めて気づかされました。こうして様々な活動やそれらを支える力にスポットが当たり、相互に刺激を与えあうことで、また新たな「実践知」が生まれるのではないでしょうか。私たちは今後も全学で手を携えて、新しい時代に相応しい教育研究・学生サービスを模索していきたいと考えています。

情報科学部長 藤田 悟
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