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【Message】世界に届け!私たちのアップサイクルマスク

現代福祉学部臨床心理学科3年
酒田 芽依さん(Sakata Mei)

  • 2022年3月24日 掲載
  • 学生紹介

Messageでは、「自由を生き抜く実践知」を体現している学生の声を届けます。

大学入学後に始めた障がい者福祉のアルバイトの影響で、海外の障がい者福祉についても興味を持つようになり、1年生の夏休みには単身で東南アジアに赴きました。訪れた場所では、障がい者が物乞いをしている現場を目の当たりにし、障がい者福祉の制度が整っていない現状に、問題意識が芽生えました。

大学2年生では、大学主催の「SDGsで南アジアとつながる、新型コロナと障害者の生活」というミニレクチャーに参加しました。その中で、パキスタンでは口元が透明なマスクが手に入りづらく、難聴者はマスク生活で特に困難に直面している現状を知りました。そこで私にもできることはないかと考え、この問題に関心を持つ学生と一緒に、現代福祉学部の佐野竜平先生の協力も得ながら、SDGsをテーマに口元が透明な「アップサイクルマスク※」の製作を始めました。マスクには着る機会のなくなった着物、大学の廃棄物集積場にあったビニール傘や靴紐などを使用しました。

パキスタンへ届けたアップサイクルマスク

試作段階では、当事者のニーズに合わせることを心掛け、難聴者だけでなく手話の先生やアップサイクルに取り組む一般社団法人の方など、広く助言を求め、多角的な視点を持って製作しました。現地では曇り止めが手に入らずマスクが曇ってしまうことや、透明部分が小さいといった様々な課題が出ましたが、洗剤で曇り止めの代用をしたり透明部分を広げたりする工夫をして改良を重ね、試作品を完成させました。

そして、手話の講義や立教大学の学生に声をかけ、計15人の有志を集めてより本格的なマスクの製作を始めました。完成したアップサイクルマスク30枚は、パキスタンのカラチに住む聴覚障がい者団体に寄贈しました。

この活動は現地の難聴者の方々にとても喜ばれ、さらには斬新さやアイデア性が学部から認められ、優秀な学外活動として表彰されました。現状から課題を把握し、そのニーズに合ったものを提供するという、臨機応変さはコロナ禍といったイレギュラーな状況においてとても重要だと活動を通して学んだので、これからも「今できること」を考えて行動していきたいと思います。

※アップサイクル
廃棄物や不要品を、品質や環境価値の高い品(または材料)に作り替えること。

(初出:広報誌『法政』2022年3月号)

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